エイディーはフジリューの夢を見るか?

藤崎竜作品の感想、妄想を中心に駄文。ネタバレしかありません。

藤崎竜作品における世界観の考察①―平行世界―

フジリューのデビュー作「WORLDS」はストレートに
平行世界(パラレルワールド)がテーマでした。

同じ顔をしたちがう人間が存在し、
常識も科学も異なるふたつの世界。

まさにWORLD"S"です。

このほかにも平行世界ないし別世界というものが
フジリュー作品には実に多く登場します。


2015年11月現在 藤崎竜作品一覧

短編「ハメルンの笛吹き」◎(主人公たちのいる世界と笛吹きの元いた世界)
短編「WORLDS」◎(里美の世界とウィンの世界)
短編「TIGHT ROPE」
短編「SHADOW DISEASE」
短編「SOUL of KNIGHT」

連載「PSYCHO+」
短編「伝染源」△(透のいる現代と伊音のいた未来)
短編「DIGITALIAN」
短編「DRAMATIC IRONY」○(MANGA世界と現実)

連載「封神演義」△(ジョカが繰り返してきた世界)
短編「ユガミズム」
短編「milk junkie」●(エンダーの星と地球)
短編「異説 封神演義

連載「サクラテツ対話篇」◎(漫画と現実の間に浮かぶ無数の漫画)

連載「ワークワーク」△(松田のいた現代とシオのいる未来)
短編「天球儀 a celestial globe」○(地球の外にピコピコの教室がある)
短編「共生魔神ぐりりんパンチャー」

連載「屍鬼
短編原作「フラワーズ フロム アルジャーノン」○(アルジャーノンの脳内世界と外)
短編原作「GHOST SOCCER」
短編原作「可能性世界を駆ける少女」◎

短編「アメとサルタヒコ
連載「かくりよものがたり」

連載「銀河英雄伝説


◎は説明が不要なぐらいわかりやすい平行世界、
○はは入れ子式の世界です。

●のmilk junkieは同じ宇宙に存在はしますが、
お互いの存在を知覚していないので
異世界といえるでしょう。

△は同じ世界の過去と未来なので厳密には別世界ではありませんが、
封神とワークワーク
伝染源やバック・トゥ・ザ・フューチャーPSYRENとちがって
過去と未来が影響し合うということがないので
別世界といえると思います。
岩代俊明さん好きです)

封神はとくに歴史が完全に途切れているうえ
特定の世界(ジョカの故郷)の再現を謀っているので
実質平行世界です。

このように、フジリューの作品24作中11作、ほぼ半数に
複数の世界」が登場しています。

WORLDSが悲劇、可能性世界がハッピーエンドだったように
平行世界の存在自体は良いとも悪いともされていません。

平行世界について掘り下げるとこれから語りたいこととズレるので、とりあえず

フジリューにとって世界は複数あるもの(この世界がすべてではない)

という点だけ強調しておきます。

フジリュー初の単行本タイトルが「WORLDS」であったのも、
振り返ってみればその後の作風を象徴していたのかもしれませんね。





余談ですが、現在銀英伝原作を読み進めていてすっごく
「あーここ封神がモロ影響受けてる!!」
となるところばかりなんですが、
平行世界・別世界(とこれから語る箱庭)の要素は
銀英伝になさそうなんですよね。

SFでありふれてそうなモチーフではあるので、
ほかに影響を受けた具体的な作品があるのか
フジリューの個人的な思想なのか気になるところです。