エイディーはフジリューの夢を見るか?

藤崎竜作品の感想、妄想を中心に駄文。ネタバレしかありません。

ほぼ自分用封神ミュージカル覚え書き

 

 

shao-24ryu.hatenablog.com

  

四不象の話だけでは終わらんよ。

 

忙しい人のための封神演義なのに漫画必修という高度な作品で初見はついていくのに必死だった。

シン・ゴジラみたく細かくセリフや間をつめてて密度がすごい。「まさか妲己とこんなところで」のあと「格闘」を省略
してプロレスはじめたときは「いや自分はわかるけどこんな省略の仕方する!?」って驚いた。

最初は場面間の間がもっとほしかったけど、回数重ねるとだんだん情報量の多さが心地よくなってきて、3時間たつのがあっという間になっていった。脳みその刺激のされ方が、インセプションにちょっと似てる。 セリフが次の場面のセリフに連想のようにつながるのは少しエンデ「鏡のなかの鏡」風。

ふだんライブに行くと余韻と自分の目で見た光景を上書きしたくなくて映像も音源もあまり鑑賞しないけど、目覚めは映像とCDが早くほしい。情報がもりだくさんなので何回も見ないとわからない。目が足りない。

キャラは全体的に仙界伝っぽかった。妄想だけど制作時期の関係で覇穹ではなく仙界伝だけ参考にしたのかな。出来の良さではなく。

実は見れば見るほどキャラの解釈ちがいや言葉づかいが気になるけど再演で修正可能だし作品として成立してるだけでまず満点で演出と曲がかっこよくて満点で演技がよくて満点で面白いので満点だから10000点です。

仙界伝同様解釈ちがい多々で決して万人受けはしないけどフジリュー封神の解釈・翻案として大アリ。個人的には外伝よりアリ(どうしてこうなった)
フジリューに見てもらいたいなぁ。


・曲
かっこよかった! 1曲目は覇穹風の古代中国っぽい重厚な曲をキャスト総出で歌って引き込まれた。全編その調子にならないかとも心配したけどバラエティ豊かな曲でフジリュー封神の古代中国的要素やアニメ要素やポップな要素や様々な面が表現されていてよかった。

何年も読み込み続けて身にしみついたセリフの数々がそのまま曲にのっているのも感動。駄文といい、フジリューは言葉づかいのセンスもいいと思っていたのが実証されてうれしい。曲がついて一番感動?驚いたのはへべれけなので悪徳ロリータもお願いします楽しみです。


・アンサンブル
太公望役橋本さんもブログで一番に挙げるぐらい、この作品の要のアンサンブル。一番忙しいしたいへんだったはずだけどみなさん安定感あって素晴らしかった。 「すべてアナログで表現」という点は不安だったけど迫力があってぜんぜん見劣りするものでなかった。むしろ、最新技術とちがって古びる心配がなくてよかったかも。転換の面からもアナログ、人力演出のほうが盛れるのかもしれない。
賈氏と黄氏でウィッグつけてほしかったけどそんなヒマがないよねって許せる。


太公望
仙界伝よりの青くさい太公望。「じゃ」問題は自分の耳が悪くて「だ」が「じゃ」に聞こえているんだと自分に言い聞かせた。声も無理してる感あって、もう少し地声でもいいと思った。

でもボケと真摯の振り幅とアドリブの大暴れで太公望としてわりと安心して見れた。
72歳という太公望の年齢を考えると、年齢にとらわれず演じられるし年齢を重ねて演技が変わっていくのもおもしろいと思うので放浪記的にライフワークとして演じ続けてほしい。

意外と他キャラのアドリブには弱いのも、物語当初のクセの強い仲間に振り回される太公望らしいともいえる。
前楽人工呼吸ぜったい映像収録してください。


・楊戩
声が楊戩。千葉さん中村さんかと思うぐらい楊戩。
安里さんが太公望と役同士、役者同士の関係性が似ているかもとおっしゃってたけど、実際カテコで言葉につまる橋本さんをすかさずフォローすることもあってますますリアルに楊戩だったし歌も安定していて実写版天才道士でしたありがとう。
序盤から太公望をつけ回しているのも説明がわかるやすくなりつつ役者さんの出番をふやす配慮で2.5次元なるほどと思った。2.5次元俳優さん忙しい。

変化方法はバリエーションあって面白かった。
元始天尊さまのとこに参上して曲イントロが始まるところは完全にアニメ1話のED入りでした。ずっと見たかった名作アニメ封神演義1話がここにあった。
目覚めの構成でアニメつくれそうつくってほしい。


・哪吒
火尖槍チャッカマンやん、バイカラーやめてと思ったけど1階席で見たらかっこよかったです。 風火輪も光GENJIやんと思ってたけど1階席で見たらかっこよかったです。飛ぶ姿勢がよい。
哪吒パートネタ回といわれてるけど、漫画では直接内面描写されることが少なかった哪吒の葛藤がクローズアップされるのは新鮮だった。太乙の「レーゾン・デートル」発言けっこう唐突に感じてたけど今回ですんなり入ってきた。
敵役出演もお疲れさまでした。

 


・黄天化&姫昌
仙界伝チックのロックスター天化。
今回初めて気づいたけど、太公望の仲間は死にかけるか親に捨てられたりしている中、天化はずば抜けて成育環境が恵まれている。ほかのだれでもなく過去を背負っていなかった天化がじわじわ迫る死を与えられたのは必然だったのかもしれない。

スポーツマンでありながら喫煙者、クールな表面の奥底に執念じみた情熱を持つ天化に長期連載のなかでフジリューが込めたものが重すぎる。愛するがゆえの戦いとはフジリューが天化を愛するがゆえなのでは。

今回内面描写はあまりないので続編でクローズアップされるの活躍楽しみ。このさわやか天化がいつか朝焼けのなかで刺されるんだよ…。

姫昌は顔も立ち姿もうつくしすぎる。


・武吉
削られがちだけど四聖戦には欠かせないと再認識させてくれてありがとう。
武吉も、スープーといっしょにマスコットに扱われがちなので重い部分が取り上げられていてよかったつらい。
蟇盆パーティー妲己手下役でいたよね?意図ある配役ではないと思うけど重い。

お父さんの「年老いた妻」発言はずっと引っかかった。息子はともかく夫はそんな表現しないのでは。そもそも武吉の年齢わかんないからお母さんがかなり年老いてるのふしぎなんだけど。
漫画はセリフでさらっと説明してたから流せたけど武吉父は羌族なのか?


・黄飛虎
黄飛虎も仙界伝的にわりと真面目だったというか、ホントボケるすきないからね。
漫画は豪快親父、仙界伝は生真面目ミドル、目覚めは天然入ったお父さん。ちょっと冗談通じない。天化曲の叫びが謎でおもろい。


・太乙真人
元からメタキャラなのでで説明役を担ったのは納得。カメラ目線ネタはさむすきはなくえもヘタレ感はのこる。
アドリブで融通きく俳優さん好き。
なんでニューカレドニアなのかわかる方教えてください。


妲己
妲己ちゃんが存在した!かわいい、身のこなしが妲己ちゃんで歌うまくて踊りも素晴らしい。
出ずっぱりでうちの楊戩がすみませんという気持ちだった(もちろんうちの楊戩ではない)

きゃぴきゃぴしてて漫画ほどの大物感はないけど操り人形だった仙界伝よりは強そう。妲己ちゃんにしては激しく物理つっこみしてたけど「支配者タイプっス」のセリフなかったのでつじつま合ってる。
この妲己ちゃんなら「申公豹ちゃん」「武成王サマ」呼びしそう。

 

 

・紂王&殷氏
兼役いじっとかないわけにはいかないけど、男か女かわからんなんていじり方せず女形として扱ってほしかった。フジリューは見た目や性別についてはあまり文字ではギャグにしてないのよ。
案外、殷氏のずれたキャラからそんなに遠くなかったし作中の扱いがもっとちゃんとしてれば哪吒パートギャグ扱いされなかったのでは。殷氏、肉の塊呼ばわりされてキレそうな気もしてきた。

まっすぐな立ち姿のなかにへたれっぽさをただよわせる紂王もよかった。早く牧野で暴れてください。


・四聖
王魔と高友乾が王魔と高友乾だった。
楊森はおまえそんなアクティブに回し蹴りできたのか。
今作はなにより李興覇の腰が心配。拌黄珠は1階席鑑賞後も笑った。もっと大きいほうがいいと思うけど取り回したいへんだろうしなぁ。
王魔と李興覇飛んでほしかったけど、だからってもの足りないとは思わなかった。飛んでるすきもないよね。


・申公豹
道化要素が前面に出てて意外だった。もっと物語を俯瞰した語り部になるかと。 それは仙界伝のイメージが強いからだし、歌って踊るのイメージがなかったのも仙界伝のイメージ。

黒点虎がいないのにひとりハイテンションにしゃべりまくって歌って踊るかわいい申公豹だった。 琵琶の持ち手変わるのも道化だからいいかな(貴人ちゃんの出番多いのはうれしいけどあんまり楽器扱いするのは妲己ちゃんいいのか)
次はぜひ横に黒点虎ほしいね。


・聞仲
予想外に力のこもった感情的な聞仲だった。
味方サイドや中立・解説キャラでなくラスボスが最初に歌い出したのは意外だった。歌唱力の説得性かな。

 

 

・四不象
前記事だけでは足りてなかった。
四不象を持ち変える吉原さんの手つきがあざやかで、見ててもどうなってるかわからなかった。

太公望といっしょにカテコに応えるのが本当によかった。外伝といい、太公望にとって四不象がどれほどかけがえのない存在か体現してくれてありがとう。スープーをやさしくなでる太公望もぼかすか殴る太公望も好きだよ。
前楽人工呼吸ぜったい映像のこしてください。

 

キャラについてはこんなもんかな、書き忘れたくさんありそう。

あとは、役者さん同士の関係性や過去の役を鑑賞時に持ち込むのは役者さんや作品に対して失礼だと思ってたけど、若い役者さんがメインとなる2.5次元ではあまり気兼ねなく鑑賞視点にふくめられると感じた。特撮同様、役者さんの成長や可能性というのを重ねずにいられない。

作品の継続が望まれるしあると思い込んでるのでなおさら(少しずつつくっていく予定って本当かな?やった!)

「じゃ」問題、キャバクラなんかも再演時に修正可能だし、漫画や小説やアニメとちがってそこが生ものたる舞台のおもしろいところなのかな。

そういう部分もふくめてできればキャスト続投での再演待ってます。

 

 

 

追記

書きもれだらけなので思い出したら追加していく。

フジリュー封神を理解するために原典に立ち返った仙界伝に対してとにかくフジリュー封神を深めた目覚め、という感じだった。

・少ない観劇経験のなかでもこれよりなんたもいえない気持ちになる舞台やライブけっこうあるので目覚めのクオリティーと安定感ホントよかった。

・武吉っちゃんの身のこなしの軽さが武吉っちゃん。

・天化の千秋楽アドリブ「それぜったい幻聴さ」がものすごく天化がいいそうだった。