ありがとう、開戦の前奏曲
待ち遠しいのとネタバレが嫌なのとで、初日配信をリアルタイムで観た。
正直もやもやすることも多く、それが劇場でないからなのか、脚本家と音楽が変わったからなのか、続編のハードルなのか、まだ初日だからなのか、わからないから週末に見直して、まとめようと思っていた。
配信とはいえ、ひとつの公演の初日と千秋楽を見比べたことがなかったから、それも楽しみだった。
趙公明にちなんで植物柄の服をかき集めて着ていくのも、花のイヤリングをつけるのも、花柄のネイルシールを使うのも、文句を言いながらランダムブロマイドを集めるのも、胸をつまらせながら推しに感想の手紙を書くのも。
すべての機会がいったん失われた。
残念だけど、キャスト・スタッフの方々はそれ以上のものだろう。
それに、思ったほどは悲しさ、つらさを感じていないかもしれない。
楽しみにしていたライブが中止になること、愛してやまないミュージシャン・役者さんたちが苦境にあること。
なんとか公演がおこなわれても、自分は遠征を控えること。
人が集まって作品をつくり公演をおこなうということが、実はとんでもない奇跡だったと痛感すること。
さんざんさわいでいるのに、けっきょく推しに会いにいくことすらできない情けなさ。
愛するアーティストたちに、グッズを買うぐらいの対症療法の応援しかできない無力感。
この1年弱のあいだにとっくにいろいろな経験をしてしまっている。
中止への、覚悟ではなく、諦めがついてしまうほどに。
続編があったことを知れただけで良かった、と思う。
1年半焦がれた作品が人知れず失われていたことのほうがおそろしい、とかえって前向きな気持ちにすらなる。
一度でも形になって、記録がのこせたありがたさ。
封神演義を届けようとしてくれてありがとう。
感染にかかわらず、関係者の方々がぶじで、元気でありますよう。
そしてまた、開戦の前奏曲が風が吹くことを信じているから。